ISBN978-4-86037-129-6 新書判・並製本・118頁 定価:1200円+税 

大角真代句集
手 紙

 最初のページからギョッとする。「えっ、これが俳句?」と。

  うっふんと春、犬、君が好きだから/ほたるいか今日こそ我に従えよ
  北窓を開けば笑う犬ばかり

 君が犬か、犬が君か。ほたるいかで酒を飲みながら「今日こそ我に従えよ」と私も言われたい。でも、これ、ほたるいかに命令しているような気もする。春になって窓を開け放すと、そこには笑う犬ばかりがいる? 
 ギョッとして、その後はやや混乱させられるのだが、ギョッとして混乱するのが俳句的体験、あるいは俳句の醍醐味だ。ギョッとして混乱したあとでは、たとえば次のような句に痺れるのである。

  「春うらら飛びます飛びますカバが飛ぶ」
  「初雪や世界の椅子が丸くなる」
  「猪のように生きたいどんぶらこ」 等

 ISBN978-4-86037-125-8 新書判・並製本・118頁 定価:1200円+税 

わたなべ じゅんこ句集
junk_words@ (ジャンク ワーズ アット)

 新進気鋭の俳人であり俳句文学研究家でもあるわたなべじゅんこの第3句集。
第2句集『seventh_heaven@(セヴンス ヘヴン アット)』との合わせ鏡のような構成で、

  「未練などないなら笑え冷蔵庫」
  「かば一頭お届け完了秋の昼」
  「あら大変ねこがくわえてきた銀河」
  「秋深し餃子を二十個宇宙軒」 等、

言葉の原初的な光景を詠んだ200句を収める。

 ISBN978-4-86037-126-5 新書判・並製本・116頁 定価:1200円+税 

河野けいこ句集
ランナー −Runner−

 日常の機微をとらえすがすがしくすっきりした印象で表現する、河野けいこの第一句集。

  「終点に誰かをるはず天の川」
  「脱落のランナー雪を見てゐたる」
  「象の耳これは春風とは違ふ」
  「噴水の放り投げたる空である」
  「鶏頭の種をこぼしてゆく尻尾」
  「春眠といふ重力を愛しけり」 等、

 おおらかで楽観的な200句を収める。

 ISBN978-4-86037-122-7 新書判・並製本・120頁 定価:1200円+税 

小西雅子句集
雀食堂

 今の暮らしを、今の言葉で、感じるままに。大胆な発想と笑いを誘う表現が特色の小西雅子の初句集。

  「早春や夫婦喧嘩を開け放ち」
  「三月や沼へ一台バスが着く」
  「月の夜は大陸動く赤子泣く」
  「セーターは手洗い男は丸洗い」 等、

日常から自由にいきいきと羽ばたく200句を収める。

 ISBN978-4-86037-111-1 新書判・並製本・236頁 定価:1200円+税 

三好万美句集
満ち潮

 句作を始めて6年目の三好万美の初句集。

  「おこりんぼほっぺたにふる雪ふわふわ」
  「春愁のしっぽを抱いて眠りおり」
  「夏空のような大皿買いにけり」 等、

やわらかくて、清潔で、あたたかな200句を収める

 ISBN978-4-86037-119-7 新書判・並製本・118頁 定価:1200円+税 

中居由美句集
白鳥クラブ -swan club-

 季語のもつ言葉の美しさ、繊細さ、豊かさに惹かれ作句を始めた中居由美の初句集。

  「春愁もヤクルト一本分くらい」
  「書庫ふかく眠る魚たち青葉雨」
  「ひとつずつ月のボタンをかけてゆく」
  「松山の一番春なタルトかな」 等、

シンプルで端正、そしてどことなくユーモアと優しさの漂う200句を収める。

 ISBN978-4-86037-117-3 A5判・上製本・308頁 定価:2000円+税 

篠崎星歩句集
一竿の竹

 民衆の歩みを探求した歴史家・篠崎勝は若き頃から折にふれて星歩の名で清新な俳句を作り続けてきた。没後十年を経て、彼の業績を偲ぶ人たちによって、俳句1300余句を一挙収録した本書が編まれた。併せて短歌、随筆も収める。

 ISBN978-4-86037-110-4 新書判・並製本・236頁 定価:1600円+税 

堀内統義
芝不器男

昭和初期の夭折の俳人・芝不器男の生涯を辿る評論。現代俳句の先駆けと言われる彼のみずみずしい抒情俳句の源泉を探る。愛誦百句を逍遙した本書後半部では一句一句に仔細な吟味・鑑賞をほどこし、不器男の魅力に迫る。

 不器男は日本近代を象徴する〈蚕の家〉の子であった。その子が、遥かなるものへの感受性を研ぎ澄まして、珠玉の575音の言葉を紡いだ。
以上が堀内統義の芝不器男論の骨子である。この見方には民俗学的地平にこだわって現代詩を書いてきたこの詩人らしさが存分に発揮されている。
「かの窓のかの夜長星ひかりいづ」と詠んで26歳で夭折した〈蚕の家〉の子。その子の思いがこの1冊に満ちている。(坪内稔典・帯文)


 ISBN978-4-86037-108-1 新書判・並製本・114頁 定価:1200円+税 

中谷 仁美句集
どすこい

 俳句を始めるや第1回鬼貫青春俳句大賞を受賞した新進気鋭の俳人・中谷仁美の若さあふれる初句集。

  「夕凪はハシビロコウの羽の中」
  「琴光喜おしりが勝つと言うて春」 等、

 個性豊かでユーモアに満ちた200句を収める。

 ISBN978-4-86037-105-0 新書判・並製本・120頁 定価:1200円+税 

わたなべ じゅんこ句集
seventh_heaven@ (セヴンス ヘヴン アット)

 「動画は一枚一枚の静止画です」というCMがあった。
 俳句は一句ずつ独立しているもの。そう思いながら作ってきた。ところが、句集にまとめるにあたって、ピックアップされた句を眺めていたら、別々の場面で作ってきた句がおのおの響き合うというか絡み合うというか、軸というかテーマというか、そういうものが見えるような気がした。連作、というほどではないが、何か一つの雰囲気、風景、ストーリー、世界観。そういったものも感じ取っていただけたら嬉しい。

  「少年は光源となるルミナリエ」
  「駅を出てひとりじめする冬茜」
  「春朧ひょんなところにぬらりひょん」
  「会いたさをお届けしたい十二月」
  「天も地も扉がいっぱい忘れ霜」 等

 第3句集 『junk_words@(ジャンク ワーズ アット)』好評発売中